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Ali Abbasi's crime thriller 'Holy Spider' starring Zar Amir Ebrahimi on Amazon Prime Japan.

女性の人権が著しく制限されている…と国際的に非難されているイランでは、成人の男女がお互い合意のうえ、プライベートの私的にコッソリと…の大人の密かなお楽しみとしても、エッチな写真やビデオの撮影及び製作が法的に認められておらず、死刑にすらなり得るため、果たして、ビデオの中の女性が本当に彼女だったのかどうか?!の真偽はさておき、いわゆる「セックス・テープ」が流出し、国をあげての大騒ぎになったことから、芸能活動を禁止されてしまった…どころか、投獄の危機にまで直面したので、祖国を捨て、フランスに逃げのびるしかなかった…

…といった経緯から、現在はフランス映画界の女優として、国際的に活躍しているイランのテヘラン出身のザーラ・アミール・エブラヒミが、柔道のコーチのマリアム役を演じるだけでなく、イスラエル出身のアメリカ映画界のガイ・ナティーヴ監督(「スキン」2018年)と一緒に「柔の道」と、いわゆる「スポーツ競技におけるイスラエルへのボイコット」をテーマに採りあげ、共同メガホンをとった長編映画の監督デビュー作にあたるアメリカ映画「タタミ」つまり日本語の「畳」を題名とする柔道映画が、この週末の6月13日に北米で封切られることから、あらためて注目の…


ザーラ・アミール・エブラヒミの演技が絶賛されて、2022年開催の第75回めのカンヌ国際映画祭の女優賞にまで選ばれた北欧デンマーク映画の実録犯罪モノの傑作「ホーリー・スパイダー(聖地には蜘蛛が巣を張る)」が、Amazon Prime Video では現在、見放題の配信中ですから、まだ観ていなかった映画通の方はぜひ、チェックしておいてみてはいかがでしょう。「ホーリー・スパイダー」は…

元ネタの連続殺人事件が現実に起きた2000年から翌01年にかけての当時は、テヘランに暮らす学生だったイラン出身の北欧映画界のアリ・アッバシ監督(「ボーダー」2018年)が、映画の物語の舞台のイランのマシュハドで、計16人の女性を殺害して、死刑になった連続殺人鬼の “ スパイダー・キラー ” こと故サイード・ハナイ享年39歳が、ふしだらな娼婦たちを殺すことで、イスラム教の聖地を浄化するのは、神のための行いだ…と残酷な犯行へと到る「清い動機」を主張したことで、冒頭のように女性の人権が著しく制限されているイランの世論が、あろうことか、連続殺人鬼を正義のヴィジランテと見なして、英雄視までした…という政治と宗教とが複雑に絡んだ感情的なチグハグの現実にショックを受けたことから、映画化に取り組んだ…と語っている…


犯罪実話の劇映画化ですが、ザーラ・アミール・エブラヒミが演じた主人公の架空のジャーナリストのラヒミが、様々な女性差別に直面しながら、連続殺人鬼を追う捨て身の取材を描いた前半の犯罪サスペンスのハラハラに対し、「畳」でも共演しているメフディ・バジェスタニが演じるスパイダー・キラーのサイードが逮捕されて、裁判にかけられ、前述のような…

「聖なる殺し」を訴えて、犯行を正当化し、世論が賛同してしまう…という大衆のリアクションの善悪を超えた「狂信」をテーマにした後半は社会派ドラマの趣きだけに、前半と後半とでは、やや別の映画のような印象を持ってしまうかもしれませんが…、

「タタミ」つまり「畳」の主人公のレイラ=アメリカ人の女優アリエンヌ・マンディ(テレビシリーズ「L の世界」)は言わばイランの柔ちゃんとして、ジョージアつまり昔はグルジアで開催される世界柔道選手権大会で優勝し、金メダルを獲得したいだけなのに、イスラエル人の選手との対戦を、イランの政府が禁止していることから、大会を棄権しろ…と、ザーラ・アミール・エブラヒミが演じるコーチどころか、政府は国内にいる家族まで脅迫し、様々な圧力がかけられることに…の物語と同様に「ホーリー・スパイダー」は、神権政治のイランが抱えていると見なされる問題の不条理を描きながらも、それらがイランに限らず、例えばソーシャル・メディアの同調圧力が、まったく間違った方向へと人びとを駆り立て、人間らしいつながりや社会の歯車が乱れてしまう…といった世界共通して、いま深刻に問題視されている「狂信」にまで、考えおよばずにはいられない…

…かもしれない重要な作品に位置づけられそうですから、観ておいて、損はないかもしれない犯罪実話の劇映画化「ホーリー・スパイダー」のご視聴はコチラです ➡️ https://amzn.to/3HD6P9c